レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

【私の好きな歌006】 「Love Makes The World Go Round」Deon Jackson

愛すべきグッドタイムミュージックと言えば、この歌も外せないでしょう。グッドタイムソウルと言った方がいいかな。タイトルを訳せば「愛が世界をまわしてる」、なんて素敵なのだろう(涙)。イントロのトイピアノ?の可愛らしい音色、フィンガースナッピング弾む小粋なリズムにほんわかポップなメロディー、ディオン・ジャクソンのハートウォーミングなボーカル(お顔も優しそうでしょ?)にメロメロが止まりません。この曲が彼の唯一のヒット、いわゆる一発屋と言われてるみたいですが、こんな愛がいっぱいのポップソングを生んでくれてありがとう、最高じゃないか!とハグしたい気持ちです。

このアルバムには「Love Takes A Long Time Growing」というもう一つのナイスなグッドタイムソウルも。「愛はじっくり育つ」二匹目のドジョウ?気にしない気にしない(笑)。

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「Love Makes The World Go Round」Deon Jackson(1966年)
written by Deon Jackson

【私の好きな歌005】 「Country Girl」Bunky And Jake

11月も暮れてきて、コタツの中でそろそろ振り返りモードに入ってきましたが。そこでパッと思い浮かぶのが、今年1月31日の大阪・雲州堂での冬支度(with藤江隆)といちかたいとしまささんのライヴがやたら楽しかったなぁ(ライヴというより打ち上げか!?笑)という。客席がやけに豪華で、観てる方もちょっと緊張感ありましたけど。私的には、藤江さんがいちかたいさんのシャウトを絶賛し熱弁していたのが、微笑ましい名シーンでした。そして、冬支度のステージを観ていたロック漫筆家・安田謙一さんが「バンキー&ジェイクの1stアルバムのよう」と褒めていたのにも嬉しい驚きでした。

ニューヨーク出身の男女デュオのバンキー&ジェイクの1stアルバムは、NRBQも恋したグッドタイムミュージックの宝石箱のような愛すべきレコード。私も憧れのレコードで、ハイファイ・レコード・ストアのHPで見つけて速攻で通販しました。ホントに全曲チャーミングでキュートで大好きな歌しかないので、どれでもいいのですが、タイトルでこの「Country Girl」を選びました(~Girlに弱い)。流麗なストリングスが入りソフトロックとも言えるオシャレな雰囲気で、二人のボーカルハーモニーは素敵にイナたいのがグッド。She is just a country girl, He is just a city boy♪

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「Country Girl」Bunky And Jake(1968年)
song written by A. Skinner and A. Jacobs

【私の好きな歌004】 「太陽の塔」BAND EXPO

BAND EXPOについては散々語ってますが、第二弾MV「太陽の塔」が届いたのでお知らせ。MVには先日のレコ発ツアーの模様、東京ラストワルツ公演のライヴ映像や大阪ムジカジャポニカ公演にまつわる写真が多数使われています。今どき珍しい(笑)手作り感満載のちょっと懐かしいヴィデオ(制作は当ブログではクララズでお馴染みアダチヨウスケさん)なので、ほっこり温かい気持ちになりますよ。個人的には、鶴橋の西口うどんの前でニンマリ嬉しそうな矢部浩志さんの写真がツボです。「太陽の塔」は今年の心のベストヒットです。そうだ、太陽の塔に会いに行こう。


BAND EXPO 「太陽の塔」

BAND EXPO

BAND EXPO

太陽の塔」BAND EXPO(2016年)
作詞:コーノカオル/青木孝明 作曲:コーノカオル

西村哲也:Vocal,Chorus,Guitar,Synthesizer
青木孝明:Bass,Chorus
コーノカオル:Piano,Chorus,Synthesizer
矢部浩志:Drums

【私の好きな歌003】 「明日はないのさ」ラリーパパ&カーネギーママ

”浪速のザ・バンド”と呼ばれた愛すべき若きおっさんバンド(だった)ラリーパパ&カーネギーママが二度目の復活をしている。嬉しい限りだ。何を隠そう(隠してもないが)田舎者の私はビビりすぎて、人生ライヴハウスデビューは23歳の時と遅咲きで、2002年9月23日京都の老舗・磔磔でのラリーパパ&カーネギーママだった。BGMで大好きなJames Taylor「Nobody But You」が流れて落ち着いた、はっぴいえんど「抱きしめたい」を無邪気にカヴァーしていた、どうやらあがた森魚さんが観に来られていたらしい、そんなことを思い出す。心配していたカツアゲは、されなかった(されるわけない)。その後、ライヴハウスで何度もラリーパパのライヴは観て、夢中になっていたが、2006年に突然(でもないか...)解散を発表し、なんて勝手気ままな!と私はショックだった(内心、怒ってもいた)。

「明日はないのさ」は2010年の一度目の復活時にレコーディングされた当時の新曲(『Good Times Are Comin' Again!!』収録)。ブラスの風が心地良いええ感じに肩の力の抜けた小粋なポップナンバーだ。70年代の青春ドラマのテーマソングに似合いそうな雰囲気で、平成の「男達のメロディー」(SHOGUN)みたいな気分で楽しんでいる。なので、本来は世相を憂うメッセージソングなのだろうけど、私は完全に青春に置き換えている。明日はないのさ、青春どんづまり。私にとってはラリーパパは青春のバンドだったんですよ。


明日はないのさ.m4v

「明日はないのさ」ラリーパパ&カーネギーママ(2010年)
作詞:チョウ・ヒョンレ/辻凡人 作曲:辻凡人

チョウ・ヒョンレ:Vocal,E.Guitar
スチョリ:Piano
キム・ガンホ:E.Guitar
水田十夢:Bass
辻凡人:Drums,Programming

【私の好きな歌002】 「my Sweet Surrender」鈴木祥子

ライターの雨宮まみさんの急逝が思いのほかショックで、いろいろ考え込んでしまう...。これを機にというのもなんだけど、その雨宮さんが鈴木祥子さんにインタビューした6年前の記事を読み返したり。ちょうど「my Sweet Surrender」発売時で、主に詞の側面からSurrender(降伏)の意味について語り合っている。リード文には「先に知識を仕入れるのではなく、音楽から入ってほしい。(...)”my Sweet Surrender”はそのくらい楽曲の持つ力が強い曲であり、なんの不純物も先入観もなしに聴いてほしい曲だからだ。」とあって、雨宮さんは楽曲自体を気に入っていたのだろうというのが感じられて、嬉しい。

私は鈴木祥子さんの音楽も大好きなのだが、それ以上にジャック達が大好き(知ってるって?)で、この祥子さんとジャック達(&かわいしのぶさん)とのコラボレーションには興奮させられた。祥子さん、ロックがやりたい!と思ってくれて、ジャック達とやりたい!と思ってくれて、ありがとう。それでもって、ジャック達の一色進さんがその思いに応えて書いた曲がまた素晴らしくて、涙。ロックの美学とロマンが目いっぱい詰まってる。あまりのカッコ良さに甘やかに降伏します。それって幸福。なのです。

my Sweet Surrender

my Sweet Surrender

SUZUKI SYOKO with JACK-TATI & KAWAI SHINOBU LIVE AT GB[DVD&CD]

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「my Sweet Surrender鈴木祥子(2010年)
words by 鈴木祥子/music by 一色進/arranged by ジャックとしのぶとしょうこ達

Vocal,Mellotron,Tambourine:鈴木祥子
E.Guitar:一色進、宙GGPキハラ
Bass:かわいしのぶ
Drums:夏秋文尚
Background Vocal:ジャックとしのぶとしょうこ達

※ジャックとしのぶとしょうこ達が結成され、「my Sweet Surrender」が生まれるまでのドキュメントは一色さんのブログ的をお読みください。何度読んでもドキドキします。そして、実はこの曲には一色進ver.も存在していて、歌詞もアレンジも違う「ロージーアールグレイ」というタイトルです。ライヴ映像が上がってますので、是非ご覧ください。グッときて仕方ないでしょう。


ロージーアールグレイ:ジャック達@「こんなジャックに誰がした」

【私の好きな歌001】 「私の好きなもの」佐良直美

唐突に始めます新コーナー、【私の好きな歌】。その名の通り、超個人的に好きな歌を紹介していくコーナーです。って、今までもそうやんけ!と突っ込まれてると思いますが、ココではもうちょっとライトに気軽に喋ります。時代も流行もへったくれもなく思いつくままに。

まず記念すべき(というほどのものではないが常套句)1曲目は、佐良直美の「私の好きなもの」。これは永遠にオシャレな歌ではないかと。いずみたく作編曲のボッサなリズムに乗せて、私の好きなモノを並べ、でも、一番好きなのはあなたよ、という素敵な好き好きソング。何より詞を書いている永六輔さんのそのモノと言葉のチョイスが絶妙に粋なセンスなのです。レモンの切り口、洗いざらしのブルージーンズ、三味線のつまびき、ヘップバーンのサングラス、霧の中のエア・ポート...くぅ~と唸りっぱなしですが、棒のついたキャンディー、で最も筆者はトキメキます。佐良さんのハスキーでアンニュイな歌声でキャンディーというカワイイ単語を発する瞬間にキュンときちゃうのです。いやぁ、永さんはニクい。

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「私の好きなもの」佐良直美(1967年)
作詩:永 六輔/作編曲:いずみ・たく
演奏:ビクター・オーケストラ

『黄金の足跡』 TRICKY HUMAN SPECIAL

ふと目を閉じれば、先月のBAND EXPO@梅田ムジカジャポニカの名シーンが瞼の裏に映ります。出来ることなら、もう一度時を戻したいくらいですが。第一部のソロコーナーでのTRICKY HUMAN SPECIAL(コーノカオルさん)も、じわりと印象的でした。歌心たっぷりのBAND EXPOの演奏が、コーノさんの色気ある歌唱と美しいメロディーを際立たせていましたね。不思議なもので、ライヴを観た後にそのレコードを聴くと、聴こえ方が随分と変わっていきます。演奏者の顔が浮かんでくるし、音がより立体的になってくるようなそんな気がします。TRICKY HUMAN SPECIALの新作『黄金の足跡』もグググッと深みを増して、寒くなってきたこの季節にもう沁みまくりなのです。哀しいかなレオン・ラッセルは星になってしまいましたが、このレコードはレオンの魂(メロウサイドの)を受け継いでいるのではないかと、今、聴いていてそう感じます。

黄金の足跡

黄金の足跡

同時発売されたBAND EXPO『BAND EXPO』とはレコーディングメンバーもほとんど同じで兄弟盤と言ってもいいでしょう。『BAND EXPO』は朝~昼に聴くと爽快なロックバンドアルバムで、『黄金の足跡』は夜が似合うシンガーソングライター然としたアルバム。前作『孤独の巨人』から地続きにある色合いではありますが、全編に渡ってしっとりしたバラードナンバーで占められています。とは言え、ポップ寄りの曲やJAZZYな曲だったり、それぞれ曲調やアレンジはバラエティーに富んでいて、最後までしっかり楽しめるアルバムになっています。前作も聴き応えのある名作でしたが、今作では壮大でメロウなTRICKY HUMAN SPECIALワールドがより一層に確立され、グンとスケールアップ、サウンド面の質も随分と向上しているように思います。そして、公式HPに掲載されている推薦コメント(素敵なコメントばかり)でSAKANAの西脇一弘さんが指摘されているように、曲ごとのゲストギタリスト(小見山範久さん、西村哲也さん、青木孝明さん)の適材適所ぶりが本当に見事です。各人が持ち味を存分に生かした演奏であっても、あまりにも曲に馴染んでいるので、誰が弾いているのか気にならなくなるほど。ドラムスはBAND EXPOと同じく矢部浩志さんが担当、コーノさんの念願だったと思いますが、優しく歌に寄り添いながらも骨太でロックンソウルなビートはここでもやはり完璧に溶け込んでいます(もしかすると他ではあまり聴けないドラミングかもしれません)。Cheer Up!WEBでのインタビューで、コーノさんが矢部さんにドラムを依頼したら「トッド・ラングレンカーペンターズとピーター・ゴールウェイを村井邦彦で割ったかのような素晴らしい曲ばかりだから楽しんでドラム叩けるよ!」と快諾してくれたというエピソード、これ以上ない最高の讃辞ですよね(私が音楽家なら、こんなこと言われたら、嬉しすぎて音楽辞めちゃうかも!?)。矢部さんが例えで挙げているミュージシャン達のように、コーノさんも時代を超える普遍的なスタンダードナンバーを創作し歌おうとしているシンガーソングライターなのです。と勝手に思い込んでいますが、『黄金の足跡』を聴いて、ますますその思いを強くしました。


陽は沈みまた昇る/TRICKY HUMAN SPECIAL(コーノカオル)

アルバム冒頭からいきなりの涙なくして聴けない胸を打ち続ける名曲「陽は沈みまた昇る」、西村さんの泣きに泣くスライドソロは歴代屈指の名演。福島ピート幹夫さんのムーディー極まりないサックスをフィーチャーしたオトナの世界「孤独な巨人」、とはいえ朝起きたら巨人になっていたという謎の哀愁漂う歌詞がユーモラス。一番のお気に入りかもなジャズるピアノとウネるベースプレイが艶めかしい「蟻とキリギリス」、小見山さんのブルージーなギターも実に渋い。dodo specialのレパートリーであったという不知火庵さん作詞曲で曰く渡辺美里感漂う「Baby Don't Cry」は西村さんの多重ギターが不思議ポップな味付けでクセになる逸品。全体的にエフェクトかけまくりでゴドレイ&クレームみたく実験サウンドの表題曲「黄金の足跡」、夢の中で稲穂の上をゆらゆら飛んでいるかのような浮遊感。一転して、シンプルに青木さんのエレガントなアコースティックギターと歌だけの生々しく柔らかな「オリオン」、二人のハーモニーが滑らかに沁み渡る。まさしくトリッキーな言葉遊びが愉快にファンキーな「30分」、思わず沢田研二井上陽水)「背中まで45分」を思い出したり。キラキラした眩しいくらいにストレートにポップな「虹」、小見山さんの晴れやかなギターソロで心に大きな虹が架かる。ホロ酔い気分の心地良い倦怠サウンドをBGMに、何気ない飲み屋で起こる不気味なヒューマンドラマ「武蔵野心中」。軽やかにこみ上げてくるポップナンバー「Tonight」で、もうひと盛り上がり。最後は、耳元でそっとあなたにだけ教えます「秘密」

黄金の足跡の主は「歌」だった、そんな名盤。じっくりと堪能してもらいたい。


『黄金の足跡』 TRICKY HUMAN SPECIAL(2016年)

01. 陽は沈みまた昇る (feat. 矢部浩志 & 西村哲也)
02. 孤独な巨人 (feat. 福島ピート幹夫, 青木孝明 & 矢部浩志)
03. 蟻とキリギリス (feat. 小見山範久 & 矢部浩志)
04. Baby Don't Cry (feat. 西村哲也 & 矢部浩志)
05. 黄金の足跡 (feat. 矢部浩志 & 西村哲也)
06. オリオン (feat. 青木孝明)
07. 30分 (feat. 小見山範久 & 矢部浩志)
08. 虹 (feat. 矢部浩志 & 小見山範久)
09. 武蔵野心中 (feat. 西村哲也 & 矢部浩志)
10. Tonight (feat. 小見山範久 & 矢部浩志)
11. 秘密 (feat. 矢部浩志 & 小見山範久)

コーノカオル Vocal,Bass,Piano,Synthesizers,A.Guitar

矢部浩志 Drums
青木孝明 Guitar
小見山範久(THE VOUT)Guitar
西村哲也 Guitar
福島ピート幹夫(KILLING FLOOR/MEALS)Sax

Drums Recording 平野栄二(Studio Happiness)
Mix&Mastering 中村宗一郎(PEACE MUSIC)

Illustration 奥田一生