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レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。

いちかたいとしまさ/冬支度@雲州堂 2016.1.31

以前紹介した大阪の男女フォークデュオ冬支度の主催イベント『靴音までメロウにvol.18』に行ってきました。今回は東京からいちかたいとしまささんがゲストで来られるということで、非常に楽しみにしておりました。いちかたいさんと言えば、当ブログはいちかたいさんの「春はパラピン紙の向こうに」で始まったのでした。つまり、私の音楽ライフにとってとても大切なシンガー&ソングライターのお一人。そして、いちかたいさんはなんと今回が初来阪とのことで、私自身も正直、関西でライヴが観れるとは思ってもいなかった(大瀧さんと同じく幻だと思ってた)ので、冬支度の二人にはただただ感謝です。

私は開場時間(お昼12時半)の少し前に会場の雲州堂に到着、いちかたいさんの絶賛リハ中でした。外に漏れ聞こえてくるいちかたいさんの歌声に、アノ歌声だぁとすでに感激し、繰り返される熱きシャウトに、リハから全力なのだなぁと驚いたのでした。そうして開場時間、整理番号1番の私(笑)。いちかたいさんの関西での知名度が全く読めないのでしたが、予想以上にお客さんは多く盛況でしたね。しかも、いちかたいさんの友人知人で著名な方々がおられ、客席を見回してもワクワクドキドキが。それでもって雲州堂の実に美味しいランチ(鯛の煮つけ)とビールで気分が更に高まりました。

先行は冬支度、と思いきや、いちかたいとしまささん。冬支度は主催者だから私が先に、という心意気。いちかたいさんはアコースティックギターを、曲によっていちかたいさんの奥さんかレーベルオーナーの安田光雄さんがキーボードをさりげなく担当。それに60年代のリズムマシン(ドンカマチック)を録音したリズムを使って、例えれば、ジョン・セバスチャンとスライ&ザ・ファミリー・ストーンが融合したような摩訶不思議な弾き語りが展開されました。時にはブレイクビーツ風の激しいリズムがあったり、そのままのリズムで別の曲を続けて演奏したりと観ていて聴いていて愉快です。あと、曲が終わると、タイミングを計って鳴り続けるリズム(iPod)をストップする作業がいちいち可笑しかったですね。演奏曲はオリジナルナンバーを中心(「春はパラピン紙~」「スターリィー・ナイト」など大好きな曲は漏れなく)に、関西ということで西岡恭蔵「街の君」とエルヴィス・プレスリー「エンジェル」(途中で「中央フリーウェイ」を一節!)のカヴァーなんかも。いちかたいさんは大瀧詠一さんに歌声が似ていることで知られるシンガーですが、実際に生の歌を聴いてみて、もちろんそういうところでの感動はありつつも、それ以上に、歌そのものの力強さと華やかさに打ち抜かれました。本編最後の「魂を売る歌」でのリズムがズレまくって(笑)スイッチ切ってからのギターかき鳴らしシャウト連発に、あの場にいた人はみんなシビれたはずです。終演後、冬支度のサポートで参加していたギタリスト藤江隆さんが「一人でハイドパーク(でのローリング・ストーンズ)をやってしまうだなんて!」といちかたいさんに興奮気味に話していましたが、まさしく正真正銘のロックンロールシンガーなのでした。

そして、冬支度の出番。いちかたいさんの熱演の余韻といつもと違う豪華な客席ということで、なんだか変な緊張感の中で始まりましたが、賑やかなインストで会場を温めて、2曲目後のいちかたいさんを呼んだ経緯についてのMCでひと笑い起きてからは、いつもの冬支度でした。毎月のように数多くライヴをこなしているので、もう堂々としたものです。一見、素朴で長閑な雰囲気でも、芯はしっかりしています。彼らのスタイルはフォークかもしれませんが、斎藤祢々子さんがフルートとアコーディオンを駆使して、どフォークに陥らない、ソフトロックに近いポップスになっているのがユニーク。この冬支度のステージを観ていた安田謙一さんが「バンキー&ジェイクのファーストみたい」とつぶやいておられて、ハッとしてそうそう!と膝を打ったのでした(流石です)。「ふられる女」「桜の見ごろは終わったみたい」などお気に入りの曲も聴けました。後半には助っ人ギタリストとして藤江隆さんが加わり、サウンドにより深みとコクが出てきましたね。藤江さんは何が必要で何が不要かをよく知っている、歌心のある本当に素晴らしいギタリストです。巧くて旨い。冬支度の安田支度さん(安田さんがいっぱい出てくる)が藤江さんを紹介する時にジェイムス・テイラージェイムス・テイラー言いすぎていましたが(笑)、とにかく藤江さんのギタープレイに惚れ込んでいます。その気持ち、よぉく分かりますよ。


冬支度 with 藤江隆「六月のパーティー」@雲州堂_20160131

冬支度の曲目を終えた後、そのままいちかたさいさんを呼び込み(いちかたいさーん!)、みんなで「かげろうゆらゆら」「春はパラピン紙の向こうに」(2回目)を。安田支度さんはマンドリンを弾いて。春の陽だまりのような心地良いセッションで、ほっこりしました。


いちかたい としまさ with 冬支度・藤江隆「かげろうゆらゆら」@雲州堂_20160131

アンコールは、いちかたいさんが一人で。ここで満を持してというか何というか、大瀧さんの「空飛ぶくじら」をカラオケで歌ってくれました。最後に素敵なお土産をいただいた気分です。ありがとうございました。いちかたいさん、また関西にお越しくださいね!今度は全編で冬支度と藤江さんがバックを務めますので(勝手なことを)。

P.S. 安田支度さん曰く「隣りでいちかたいさんの歌声を聴いていたら、プライマル・スクリームボビー・ギレスピーに似ているなぁと思いました」という思いがけない新説が飛び出たので、久しぶりに我が家にある唯一のプライマル・スクリームのCD『Give Out But Don't Give Up』を引っ張り出して聴いてみたら、ヤられました。似ているのかどうかを飛び越えて、いちかたいさんとボビーが結びついてしまいました(笑)。


Primal Scream - Jailbird live Glastonbury 2003