レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

「すってんころりん」ぶどう÷グレープ

昨今のアイドルブームというか、アイドル礼賛なムードに、確かにアイドルさんは必死でスゴイとも思うけれども、なんかこう馴染みきれない私です。たぶん基本的にロック畑の人間なのでしょう。そんなモヤモヤ気味の私はぶどう÷グレープを聴くわけです。


ぶどう÷グレープ/すってんころりん

3年前の夏頃の私は、80'sニューウェイヴに急に興味が沸きだして、いろいろ聴いていく中で、じゃあ、現代のニューウェイヴバンドってどんなのだろう?と探しているうちに、ぶち当たりました。ぶどう÷グレープ「すってんころりん」のPV('12年作)。どうにもチープな映像で、女装男装入り乱れカワイイんだか気持ち悪いんだか、仏様の前でふざけて罰が当たりそうだし、曲も妙にファンキーで、わけのわからない強力なフックがあって、クセになるような匂いがプンプン。うわぁーこりゃ面白いやと。しかし、このぶどう÷グレープという名前はどっかで聞いたことあるなと思って、調べてみたら、シネマが名古屋でぶどう÷グレープと対バンするというニュースでした。この揃いの衣装にネクタイ、確かに見覚えが。それでYouTubeで彼らの映像を片っ端から観ていくうちにどんどんハマっていって、CDも速攻で集めました。新譜が出たとかそういうタイミングじゃない意味不明なときにTwitterで急にぶどうぶどう言い出したので、メンバーもなんじゃこいつ?と思っていたことでしょう。で、これはライヴも観たいぞ!と思い始め、名古屋の円頓寺商店街での秋のパリ祭に出演するというので、無料だし、えいやで神戸から駆けつけました。バッチリにキメたくみんこ÷グレープさんとすれ違って、わぁー本物だキレイとかいうベタな感動。短い時間ながらも想像以上に切れ味鋭い演奏素晴らしく、サエキけんぞうさん(寿司頭)のバックをやったりもしてめちゃ愉快でした。そして、その勢いで翌月の名古屋得三での柴山一幸さんとの2マンも観たのですが、ギッシリ満員で大いに盛り上がり、名古屋での人気の高さに驚きました。バンド演奏もなんというか外タレみたいな出音の良さ、華やかで躍動感があって魅せるステージングも完璧でした(ライヴ後の名古屋の夜も大変楽しゅうございました)。あと、私がふとつぶやいた大なり><小なりとぶどう÷グレープの対バンが観たい!というツイートを見たマネージャーさんに、そのアイデアをパクられるという嬉しい事件もありましたね(笑)。もちろん、東京まで観に行きましたよ(↓その日のライヴの模様。超有名曲でつなぐニクイ演出)。


ぶどう÷グレープ「RYDEEN〜迷いの交差点」2014.5.17 渋谷Last Waltz

We are BUDO÷GRAPE from Nagoya, Japan!ぶどう÷グレープは名古屋のバンド。2001年に前身バンドのバケラッタからぶどう÷グレープに移行していったそう。私が知った時のメンバーは、現在もそうですが、くみんこ÷グレープ(Vo)、ながい÷グレープ(Gt)、まつい÷グレープ(Ba)、たいち÷グレープ(Ds)、74÷グレープ(Key)の男女混合5人組。名古屋や東京だけでなく、なんとアメリカやイギリスでもツアーを行い、地元のバンドを容赦なく食っちゃって、外国人を踊らせていたみたいです(今年もイギリスツアーに行くとのこと)。確かに、くみんこさんのアイドルっぽさやキッチュな音楽性は日本のアニメやJ-POPオタク達にも受けそうですね。私が彼らの演奏を聴いたときにパッと思い浮かんだのは、XTCというよりはエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズです。ながいさんのカッティングギターは天下一品、まつい&たいちリズム隊のグルーヴは黒くパンキッシュ、74さんのすっとぼけキュートなキーボード。センスだけでなく生演奏でしっかり聴かせる腕の確かさ、最高です。そんなキレキレのロックンロールな演奏にくみんこさんの可愛らしくカッコイイ歌が素敵に混ざり合います。そして、ながいさんの書く楽曲が絶妙にひねくれてポップで、それこそ「すってんころりん」のように印象的なフレーズやリズムを繰り返して中毒にさせていく魔術師ぶり。おまけに歌詞もながいさんがほとんど書いていて、なんでそんな細かい女ゴコロを描けるのか?謎です。これまでアルバムは8作くらい出ていてどれも充実作、最新は配信限定シングルシリーズ(ジャック達のシャックフルーツシングルスのような)で、ちょうど第5弾で終わったところですが、配信ならではの録って出しのスリル満点な勢いに満ちた曲ばかりです。すぐにダウンロードすぐに聴けるので、ひとつお試しを(↓配信シリーズで一番のお気に入りはこの「マインド・ミュージアム」、ハルメンズばりの疾走感!シンセベース!)。


2016-3-20 ぶどう÷グレープ LIVE @Tokuzo ③

ちなみに、ギターの永井秀彦さんは80年代~にザ・ショッカーズというバンドをやられていて、90年に名古屋E.L.Lグランドファーザーズと対バンしているようです。皆さま覚えておられるのでしょうか?グランドファーザーズ『BBB』デラックス盤に入っている「Chicken Skin」のライヴバージョンはその日のテイクです。