レコードは果てしなく

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『フレット』大なり><小なり 【前半】

待ちに待って待った“大なり><小なり”(ロックバンドです)の1stアルバム『フレット』がついに到着。パンパンに膨らんだ期待感に包まれながら、正座をして再生ボタンを押したら、2秒で中毒である。聴き始めたら止まらない(ニヤケ顔も)、聴いてなくても頭の中で鳴り続けている...。わりと傑作、いやいや、私にとっては大がつく傑作(笑えるという意味でも)。初アルバムにして集大成みたく渾身の内容で、これからどうするの?と心配しちゃうくらいだ。

フレット

フレット

思い返せば、大なり><小なりとの出会いは3年前のミニアルバム『ミーティン』レコ発ツアー、真夏の京都わからん屋にて(共演は西村哲也さん)、何も音源を聴いたことない状態で彼らのライヴを初めて観て、一発で大好きになった(お人柄も)。『ミーティン』(6曲入り)もバッチリ気に入り、鮮度は魔法のように全く落ちることなく、我が家で屈指の回転数を数えていた。そんなこんなで届いたフルアルバム『フレット』は全14曲61分のボリュームなのだから、もう大変なのである。単純に14曲ではない、1曲に詰め込まれたアイデアは5曲分くらいありそうだから、そりゃもう大変なのである。雑多な音楽要素が散りばめられ、展開はめまぐるしく変わるのだけど、緻密に計算されたアレンジと練り上げられたバンドアンサンブルで、ジェットコースターのように痛快に駆け抜けていく。なので、あっという間に最後まで聴ける。これってなかなかスゴい。その音楽性はXTCに近いのだろうけど、私はXTCを60分聴くのは正直しんどい。どう考えても変態なのに(笑)、ああいう神経質さは皆無で、人懐っこくほのぼのしているのが大なり><小なりの大きな魅力だと思う。そう言えば、リーダーのヨナフィさんは沖縄出身である(関係あるのか?)。

XTCという名前を出してはみたけれど、大なり><小なりの音楽を説明するのはなかなか難しい。彼らのギターサウンドは、ギターポップとかパワーポップとかの範疇に入るのかもしれないけど、なんかそう割り切れないものがある。ニューウェイヴ的なセンスも感じるけれど、それ以前のオールドウェイヴな音楽からの影響も多分にありそうな演奏だ。彼らは宣伝文に“わりとロック!”というキャッチコピーを使っているが、正面切ってロックと言えない曖昧さを自覚しているのだろうか。私もそのコピーに異論は無いし、むしろ、曖昧だから惹かれるというのもある。彼らの直接の先輩にあたるだろうムーンライダーズカーネーションだって曖昧なわけで。そもそも人間なんて曖昧なのだから、音楽も曖昧でいい。もちろんスパッとジャンルに分けられる音楽も(魅力的なものは)魅力的ではあるが、いろんなジャンルをつまみ食いした聴いたことあるようで聴いたことないポップロックというのが、やはり面白い。そういう意味で、『フレット』はとても美味しいアルバムである。高級レストランのような敷居の高さなんてものはないし、まぁ店員はちょっと風変わりで、料理の見た目も少し歪(斬新とも言える)だが、味は確かだ。安心して召し上がれ!そんでもって、クセになっちゃって!


『フレット』大なり><小なり(2015年)
01. フレット
02. ストレートネック ブルース
03. ハカナシ
04. かんたんです
05. とかなんとか
06. ケチな呪い
07. 今際
08. つり皮や手すり
09. おしゃれなうた
10. サントラ
11. 今日でおさらば
12. 変身
13. ハトなんですが
14. グラビティ

大なり><小なり are
ヨナフィ Vocals, Chorus & Electric Guitar
宙GGPキハラ Electric Guitar & Vocals, Chorus
えみコバーン Electric Bass & Vocals, Chorus
山口彩子 Drums & Vocals, Chorus

Produced by 大なり><小なり&安部OHJI


長くなりそうなので、後半は全曲感想を...