【私の好きな歌008】 「その気になれば」中川イサト
中川イサトさんと言えば、アコースティックギターの名人であるが、私はイサトさんの歌が大好きだ。細野晴臣さんにも通じる人情味あるぶっきらぼうな歌、ちょっと情けない感じがするのが愛おしい。我が家にある70年代のイサトさんの歌ものレコード『お茶の時間』『1970年』『黄昏気分』、2枚組ライヴ盤『鼻歌とお月さん』は全てが全て宝物だ。中でも、宅録アルバム『1970年』はリバーブ多めのアシッドフォークなムードがたまらない。私を包みこむロンサム。
コタツでぼーっとしている今日は「その気になれば」な気分。”その気になりさえすれば 夏の終りの海が見られるのに”ということは、その気になれないので夏の終りの海は見ていない。部屋で想像の海を漂う引きこもりの歌だ(ろう)。『お茶の時間』でのエリック・カズ風のドラマチックなバンドアレンジも素晴らしいが、引きこもり度では『1970年』の素朴なギターと歌だけのバージョンに軍配。この歌の主人公と友だちになりたい。