レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

【私の好きな歌015】「燦々午後」加藤千晶

肌寒い日がずっと続いていて、春!となかなか言い切れないですが、今日はほんわか暖かくて外を歩いていて気持ち良かったです。そろそろでしょうか、そろそろでしょう。すると、聴く音楽も自然と春めいた歌を選ぶことが多くなってきますね。そんな中でも、加藤千晶さんの『ライラックアパート一〇三』というアルバムが、春の私にはとてもフィットします。現在の千晶さんのジャジーなテイストとはまた違って、このアルバムでは真っ当にポップスといった趣で。決して春のことを歌っているとは限らないですが、全体的なサウンドが燦々と午後に降り注ぐ春の柔らかな陽差しのよう。

「燦々午後」は、思いがけずファンキーでじわんとちょっぴり体温が上がる。クラヴィネットがブリブリとリズムを刻んで、バリトンサックスは地べたを這いつくばって響き、矢部浩志さんのドラムも粘っこく後を引く。思わず『カフーツ』の頃のザ・バンドが思い浮かんだけど、とは言え、あのむさ苦しさはあるはずもなく(笑)、どこかとぼけていてのんびりしているのが千晶さんのチャーミングな味。のどはカラカラ涙もカラカラ~♪のところなんかは、ほのかにはっぴいえんど的な風情もあったり。いつでも何気ないニッポンのヒトの暮らしを歌う千晶さん。そして、コーラが出てくる歌はもれなく好き(なんでだろう?)。三々五々あてもなくぼやーっと散歩する時にオススメ、のんべんだらりずむ。

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「燦々午後」加藤千晶(2000年)
song written by 加藤千晶

drums:矢部浩志
sax:川口義之

produced by 鳥羽修、鈴木博文
recorded and mixed by 鳥羽修

※『ライラックアパート一〇三』には、「南雲通り交差点」というキラーチューンもあり!