レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

『BOOGIEST BAND IN TOWN』 HERSHEY's

リオオリンピックや甲子園が終わり、もう夏も終わりですね...なんて感傷に浸るどころか、ますます死ぬほど暑い毎日。まだまだ、ギンギンギラギラの夏なんです。うむ、ギンギンギラギラ...ギンギンギラギラなロックと言えば、そう、グラムロックだ。という絶好の!?タイミングで、最高のグラムロック名盤が我が家にやってきた!HERSHEY'sの2ndアルバム『BOOGIEST BAND IN TOWN』、邦題は”町一番のブギーバンド”。

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HERSHEY'sは大阪の男女混成4人組グラムロックバンド(ROLLYの由緒正しき後輩と言えそうな)。彼らを知ったのはつい最近のことで。毎年ゴールデンウィークに、神戸の人情味溢れるディープスポット新開地で行われている地域密着型音楽フェス新開地音楽祭(神戸に長く住んでいながら、実は知らなかった...)。何やら京都のパワーポップバンドThe Mayflowersが出演するというので、観に行きました。他にも中島孝withカンバスやサウストゥサウスのクンチョーさんのバンドなどが観れたり、美味そうな匂いを放つお店もいっぱい出ていて、地元のおっちゃんおばちゃんが気持ち良さそうに音楽に酒に酔っていたり、派手なメイクのおっかない人たちがいたり、ああ素敵な祭りだなぁなんて、すっかり楽しみました。その後、新開地音楽祭の映像が何かあがってないかなぁとYouTubeをチェックしていると、うん?もしやあの派手なメイクのおっかない人たちでは?と思しきサムネイルがあったので、そのライヴ映像を観てみたら、ワォ!なんてカッコイイんだ!と一瞬で惚れてしまいました(同時に、生で観なかったことを激しく後悔)。それがHERSHEY'sというバンド。彼らの風貌に違わぬ怪しくキャッチーな楽曲にバンドサウンドの鳴りの良さとやたらウマい演奏。特に、女王様ベーシストHERSHEYの華麗なプレイにやられたのでした。


神戸 新開地音楽祭 2016 【HERSHEY'S】スクエアステージ .2

そんなわけでライヴ映像を毎日のように観ては恋い焦がれ、文字通り待望のニューアルバム『BOOGIEST BAND IN TOWN』は彼らのHPの通販で購入。ペライチのジャケットの裏側には色付きボールペンでメンバーのサインが書いてあって、家内制手工業ぶりにほっこり...したのもつかの間、再生ボタンを押してみれば、2016年とは思えない狂暴なサウンドで面食らう。まるで60年代のThe Moveみたいだ。狙いというよりは録音環境がなかなか厳しくて、結果こうなっちゃったのだろうな。まぁ普段からいろんな音質の音源を聴いているので、問題ナッシング。いや、むしろ、何度も聴いてみれば、この音楽にはこのワイルドで濃厚な音がふさわしいんじゃないかとさえ思えてしまう。アイデアをふんだんに盛り込んで、良い楽曲、良いアレンジ、良い演奏をしっかり録音すれば、ちゃんと伝わるのですよ。

彼らの音楽はひと言で言えば、グラムロック(曲名見てるだけでもニヤける)。なのだが、もっと広く60~70年代の英国ポップロックの旨味がこれでもかと凝縮されている。デヴィッド・ボウイT.レックスモット・ザ・フープルレッド・ツェッペリン、スレイド、スウィート、ロイ・ウッド、ロキシー・ミュージックコックニー・レベル、クィーン、パイロット、ビートルズモンキーズモンティ・パイソン、バブルガム・ポップ勢、サディスティック・ミカ・バンドなどなど、ボーカル&ギターのAICHANはA級もB級もたぶんきっと全部聴いているのではないだろうか(70年代の日本の歌謡曲、ニューミュージック、フォークまでも)。そういったマニアックな記号を散りばめながら、とびきりチャーミングで退廃的でゴキゲンなポップナンバー目白押しで、私のポップのツボを押されまくっている。どの曲もグラムロックらしく芝居がかっていて、1曲1曲歌の世界の主人公が変われば、AICHANのボーカルも千変万化(鮮やか!)、そこに絡むHERSHEYの舌足らずでキュートな歌声もたまらない。まるでモット・ザ・フープル「土曜日の誘惑」でのイアン・ハンターとリンジー・ディ・ポールのよう、つまり大大大好物。とか言っていると、なんかこう懐古趣味的なバンドかと思われるかもしれないけど、そもそもグラムロックは性別や時代を超えた人類離れした人間臭い音楽なのだから、新しいとか古いとかで語るのはナンセンスである。AICHANの多彩に爆裂するギター、HERSHEYのクールにドライヴするベース、HATOのシンプルに跳ねるピアノ、HYGZOのスカッと痛快なドラム、ただただ彼らの町一番のロックンロールにまみれて歌って踊るべし。TO BE PLAYED AT MAXIMUM VOLUME!!


HERSHEY's もっとだ!!フープル2016.3.23 代々木Zher the ZOO

もっともっと!もっともっと!もっと頂戴よロケンロー!
ライヴ観に行かないとなぁ、おっかないなぁ(笑)。いつかジャック達とB級ロック対決してほしいな。


『BOOGIEST BAND IN TOWN』 HERSHEY's(2016年)

01. ハーシーズのテーマ
02. ボウイフレンド
03. 恋のバブルガムサマー
04. 電流Boogie
05. デカダンス黄金狂時代
06. おしゃまな日曜日
07. すべての若き馬鹿野郎ども
08. ウサギノハミング
09. ROCK★STAR
10. Cat in suicide
11. 恋のロンドンポップ!!
12. blue velvet skirt
13. WILD HONEY
14. もっとだ!フープル
15. 町一番のブギーバンド!!

HERSHEY's are...
AICHAN (Gt,Vo) HERSHEY (Ba,Vo) HATO (Key, Cho) HYGZO (Dr, Cho)

※先着100名にもらえるカヴァー曲集の特典CDがまた最高で、花の名前のバンドとか座布団運んでる人のグループとか、見事にHERSHEY's流グラムロックアレンジでアッと驚く為五郎。もう残り少ないらしいので、お早めに。