レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。

『三匹夜会』三匹夜会

「この三人はメトロファルスの残党だから...」と思わず漏らしてしまうフロントマン気質ではない、ライオンメリィ、西村哲也、熊谷太輔というシャイで愉快な三人組、その名も”三匹夜会”。一夜限りのユニットかと思いきや、意気投合したのか毎年じわじわライヴを続け(沖縄まで行っちゃったり)、おまけに(おまけではないけど)なんとまぁ1stアルバムが届いちゃいました。昨年4月の大阪・音凪ライヴの時に、CD作りたい願望を聞いていましたが、まさかこんなに早く実現するとは!凝りだしたら止まらないメリィさんや西村さんがいるにも関わらず(笑)。これはもう影のプロデューサー?最年少の熊谷さんの手腕でしょう。当初は5曲入りくらいのミニアルバム的なものを考えていたみたいですが、あれよあれよで9曲入りのほぼフルアルバム。思いつきのようにジャンルがバラバラ、既発ソロ曲のリメイクやカヴァーなんかもあり、名刺代わりの1枚と言った趣もありますが、取っ散らかったが故の心地良い混沌。私はNRBQが死ぬほど好きなのですが、それにも匹敵するくらい。聴き始めると魔法にかかったようにリピートしてしまっている謎の中毒性然り。ここには、世にもユニークな三人の歌と音とリズムしか入っていません。それがもう最高にラヴリーなレコード!

オープニングはメリィさん作の文字通りの中毒ソング「アリスとテレス」、サイケ&デリック。エルスD夢の世界は、ほのぼのと危ない。私は、華がない三匹夜会をナメてた...ウソ。西村ソロ『ヘンリーの憂鬱』収録の名曲「牛の群になって走る」は三匹夜会バンドサウンドで(元々は弾き語り)。まさしく泥沼を鈍く走る牛の群のようにズシリと重たい足取りの熊谷ビート、メリィさんの孤独な旅人の背中が見えるアコーディオンも素晴らしい。名演。曇天から一瞬で晴天へ、超ゴキゲンなでっち上げアフリカンダンスナンバー「フリカオネーラ」で踊ろうや。何気に筒美京平(少年隊)まで取り込んだ!?意外とミクスチャー。メリィさん特有の言葉の摩訶不思議グルーヴ、私は”なかみ汁でしょ サマーランド”が頭の中でグルグル...。あまりにも有名なジャズのスタンダード「TAKE FIVE」をジャズ畑でないロックな三人が真面目にカヴァー。なんちゃってが微笑ましくもエレガントにキまっている。続くのは何と!驚愕のシンセサイザーインスト「三匹旅の手引き」、西村さんのブライアン・イーノ趣味がここで爆発するとは!許した二人の寛大さ(笑)。チルって下さい。西村さんが熊谷さんの為に書いた「ケモノたちの夏」は、これまた予想外の小粋なブリティッシュポップBEATLESQUEEN調。熊谷さんの真っ直ぐでピュアな歌いっぷりにスカッと清々しい気持ちになる。メリィさんの怪しすぎる夜会に集いし酔いどれブルース「Mad-Hatter Blues」は、どことなくメトロファルスの残党的味わいが。西村ソロ『ハンナと怪物達』収録の前代未聞の養老院ロック「グレートフルハウス養老院」も素敵に生まれ変わり。三匹夜会のラグタイム風のお茶目な演奏で、ますます滲み出るユーモア(そして、リアリティ...失礼!)。アルバム最後は、熊谷さん生涯初の作詞作曲ナンバー「チョチョイと三匹」で。ウヰスキーのCMソングにも似合いそうな鼻歌節、ため息で終わるトホホ感が『三匹夜会』のエンディング曲にはふさわしい!?エンドロールの文字もおどけているよ。

そうだ、私もこういう愛嬌のあるオッチャンでいよう。

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『三匹夜会』三匹夜会(2017年)

01. アリスとテレス(Lion Merry)
02. 牛の群になって走る(西村哲也
03. フリカオネーラ(Lion Merry/熊谷太輔)
04. TAKE FIVE(Paul Desmond
05. 三匹旅の手引き(西村哲也
06. ケモノたちの夏(西村哲也/熊谷太輔)
07. Mad-Hatter Blues(Lion Merry)
08. グレートフルハウス養老院(西村哲也
09. チョチョイと三匹(熊谷太輔)

三匹夜会 are...
西村哲也 GUITAR/BASS/Vo.
ライオンメリィ KEYBOARDS/木琴/Vo.
熊谷太輔 PERCUSSION/Vo.

※録音やライヴや沖縄旅行の模様を記録したオモシロDVD付きありますが、DVD残り少ないようです。通販等はライオンメリィさんのHPをチェックしましょうね。