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レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。

【私の好きな歌017】「バイバイグッドバイサラバイ」斉藤哲夫

先日4/9の三匹夜会(ライオン・メリィ+西村哲也+熊谷太輔)@拾得で、メリィさんが歌ったレオン・ラッセルの「タイトロープ」が忘れられない。以前、西村さんとクロシバ(黒瀬尚彦&シバ)でカヴァーしたことがあって、それも良い雰囲気だったけども、やはり、レオンが乗り移ったかのようなメリィさんが歌うと格別なものがある。拾得のピアノの位置の関係で、客席からはメリィさんの左後姿しか見えないのだけど、それがまた物寂しく切なかった。「タイトロープ」は私が生まれるずっと前のヒット曲(1972年)だそう。正直、このヘンテコリンな曲がなぜ大衆の心を打ったのかイマイチ分からなかったのだけど、メリィさんの歌とピアノを聴いていて、単純に、ああ素敵な曲だなぁ、泣ける、と腑に落ちた。

私が「タイトロープ」を聴くと、決まって頭の中で次に流れるのが、斉藤哲夫さんの名曲「バイバイグッドバイサラバイ」である。哀愁いっぱいのメロディーにはポール・マッカートニーがやりそうなラグタイムっぽい感じも入っているだろうけど、場末の寂れたサーカスみたいなアレンジは、「タイトロープ」と共通する匂い。そして、何よりも哲夫さんの絶妙に声がひっくり返る瞬間はレオンを彷彿とさせるものがある(というか、これほどまで声がひっくり返って様になるボーカリストはレオンと哲夫さんくらいしか思い浮かばない)。そんな綱渡りをしているかのように危うい歌唱には、人間の弱さ情けなさがとめどなく溢れ出し、それでも堂々と痛快に歌い切る。倍々グッときてしゃあない。演奏陣にはムーンライダーズ以前の若き岡田徹さん(24歳)や白井良明さん(19歳)がいて、録音もまたしっかり1973年の素直な音で素晴らしい。LPの哲夫さんがカバンを肩から提げて立っているだけのジャケットは、小西康晴さんがフェイバリットに挙げていたように思う。何から何まで、アナログレコードで味わうべし。

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「バイバイグッドバイサラバイ」 斉藤哲夫
作詩曲:斉藤哲夫/編曲:瀬尾一三
from 『バイバイグッドバイサラバイ』(1973年)

※スカートの澤部渡さんは次作『グッド・タイム・ミュージック』が大好きだそうだ。それだけでも彼を信用できる。