レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

【私の好きな歌016】「Sweet Little Lisa」Dave Edmunds

イギリスで最も好きなバンドは?と問われれば、無難に、ザ・ビートルズと答えておこう。本心はロックパイル(Rockpile)なのだけど...いちいち説明するハメになりそうなので面倒臭い(汗)。デイヴ・エドモンズニック・ロウ、ビリー・ブレムナー、テリー・ウィリアムズ...スター性からは遠くにいるなんか地味な職人ロックミュージシャンによる4人組スーパーバンド、ロックパイルだ。時代はパンク&ニューウェイヴ、ちょっとオッサンの彼らはちょっと古臭いかもしれないロックンロールをゴキゲンにカッ飛ばした。ロックンロールと言っても、あまり不良っぽくなく、ロックンロールオタクが愛だけでやっている感じ。超ポップでどこか人懐っこい、のが何より好き。ロックパイル関連のレコードはどれも最高で、「恋するふたり(Cruel To Be Kind)」のニック・ロウ『Labour Of Lust』が大人気だろうけど、私的にはデイヴ・エドモンズ『Repeat When Necessary』を推したい。1979年6月リリース、嬉しいことに私が生まれた年月だ(『Labour Of Lust』は翌7月)。なんともテキトーなデザイン(と言えるのか?)のジャケットや、『必要ならばリピートしてくれよな』という名盤と呼ばれることを拒否するかのようなユルいタイトルがまたイカす(ホントか?)。デイヴ&ビリーのウキウキ痛快極まりないギターの掛け合い、ニックのスタイリッシュに熱くドライヴするベース、テリーのシャープすぎる爆裂ビート、79年のロックパイルは演奏の脂が乗り切っていて、それはもうキレキレの疾走感である(我が家のターンテーブルはちょいと速いので、ますます走っている)。とりわけA面5曲の充実度はハンパない、5曲目「Dynamite」のドカーン!と爆発音で終えるという愛嬌のある(ダサい)アレンジも含めて無敵状態である。4曲目の全くスウィートではない「Sweet Little Lisa」は、カントリーロッキンギターの名人アルバート・リーを大フィーチャー!指から煙が出るような息をつかせぬ速弾きに血沸き肉躍る。鮮やかに繰り出される麗しいトゥワンギーな音色にワクワクが止まらない。キング・オブ・快感。ギタープレイにも千差万別様々なスタイルがあるけども、私が一番アガるのはカントリーの匂いを感じさせるギタリストなんだろう。NRBQのアル・アンダーソンやラスト・ショウの徳武弘文さんとか、西村哲也さんもそうでしょう。あ、そう言えば、私の誕生日はチェット・アトキンスと同じだったりするので、もしやDNAに組み込まれているのだろうか...

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「Sweet Little Lisa」 Dave Edmunds
(H. DeVito/D. Cowart/M. Cowart)
from 『Repeat When Necessary』(1979年)

※一色進さん率いる東京の名B級ロックバンド、タイツのアンソロジー2.5枚組ベスト盤『GIRLIC REPRICA』に収録されている未発表曲「テンプテーション・オイル」ライヴ音源では、徳武弘文さんがゲストでアルバート・リーにも負けない砂嵐のようなカントリーロッキンギターが聴ける。燃える!燃えまくる!世に出してくれて、ありがとう(涙)。

アルバート・リー・モデルのエレキギターの使い手、と言えば、ぶどう÷グレープの永井秀彦さんである。永井さんが持つとあの妙な形のギターが不思議とカッコ良く見え、強力なカッティングギターにもよく似合うんだ、これが。

※日本のロックパイルは?BAND EXPOだろうな、うん。