レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

ジャック達@梅田ムジカジャポニカ 2017.2.12

今、何やら世間ではドラマ「カルテット」が話題らしいですが、当ブログで話題沸騰のロックすぎるカルテットと言えば、そう?ジャック達!そんな(悪)夢の4人組は最新で最高の傑作『JACK TOO MUCH』を引っ提げて、東京名古屋大阪と局地的なワールドツアーを敢行。しかも、今回は恐れを知らぬワンマンライヴで!私は最終日の大阪公演は梅田ムジカジャポニカにお邪魔しました。邪魔するんやったら帰ってくれ、あいよー。それにしても、ワンマンでやると報せを聞いたときは驚きで、というか、正直(集客やら集客やらの意味で)暴挙じゃないかと思ったのですが、直前に公開されたGO→ST海賊放送局ポッドキャストの居酒屋座談会の中で、一色進さんが呂律が怪しくもはっきりと「東京でやっているジャック達の濃厚なワンマンをとにかく地方の人に観てもらいたい」という強い想いを語ってくれて反省と胸熱、そして、実際にジャック達のワンマンライヴを初体験して、出てくる言葉はただひたすら、感動した!ありがとう!やっぱり私はロックが、ジャック達が大好きなんだなぁと改めて実感した次第です。

ジャック達/JACK TOO MUCH

ジャック達/JACK TOO MUCH

それでも超心配していたお客さんの入りなのだけど、予想以上に客席もイイ感じに埋まって、ホッ...。中には、『JACK TOO MUCH』でジャック達を知って初めてライヴを観に来たという方も何人かおられたようで、ファンとしてもなんかとっても嬉しい(ライヴの感想やどういうきっかけで存在を知ったのか訊きたいところですが)。これだけいてくれればもう盛り上がっちゃうよ、特に大阪はノせ上手だから、ジャック達メンバーも気持ち良く演奏してくれるでしょう。そして、開演前にはBGMで大音量で10ccやELOが流れていて(終演後はWINGS)、否が応でもテンションが高まったよ。デッド的サイケな空間にブリティッシュムードが混ざり合う中、ジャック達のワンマンショーの始まり始まり。

オープニングナンバーは豪快な肩慣らし「JUMPER」で、宙GGPキハラ弾き倒すヘヴィーにひしゃげるレスポールの響きで一瞬にジャック達ワールドへ引きずり込まれる。自然に湧き上がる大歓声!もうすでに最高なんだから(以降も曲が終わるたびに大歓声が続くことを想像してください)。ここからはマシンガンのように『JACK TOO MUCH』ナンバーが続いて行くよ、「カジュアル」「マイ・ベイビィ・アン」と怒涛の最新型ジャック達ロックンロール、ジャック・アンド・ロール、ジャックンロール!だ(今、思いついた)。「カジュアル」での大田譲&夏秋文尚リズム隊ご乱心、マイベイビ~ア~ン♪コーラスしないでいられましょうか。それにしても爆音だ。ムジカジャポニカは超パブロックなハコ、バンドサウンドが巨大な一塊となって飛び込んでくる60年代のモノラルレコードのような音響で、『JACK TOO MUCH』の楽曲にはバッチリ。最初から最後までアンプ直撃の爆風で痺れっぱなしだった。シビレチャッタ、シビレチャッタ、シビレチャッタョー(by植木等)だ。「飛ぶ前に跳べ」で座っていても軽やかに跳んで、「Stormy April Blues」での夏秋さんの奇怪なドラムビートに胸騒ぎ。この「Stormy~」や後でやる「アル・カポネ」なんかはレコードならではの録音をしている曲なので、ライヴ用バンドアレンジがまた雰囲気が違って楽しい。ジャーンジャンジャーン...え?この流れで涙ナミダの永久に名曲「暁ワンダーボーイか!あまりにさりげなく、不意を突かれた。終盤に取っておくかと思いきや、もったいぶらないのがジャック達流!?泣くより先にそのロック魂に感服。デヴィッド・ボウイへのレクイエムを一色さんがやるせなく狂おしく歌い上げると、ライヴは中盤に。ここで他のメンバーの歌唱をフィーチャーするコーナー、ジャック達の新名物ボーカル回し。「スキニー・スキニー」はキハラさんのレコードよりちょっとぶっきらぼうな歌、そこに絡む一色さんのどこかかわいらしいコーラスと荒々しく華を添えるギターソロにグッとくる(なんか愛情を感じるのよ)。続くニッポンの洋楽「The Time Has Come」での夏秋さんのボーカル(一色さん曰く、ブリティッシュ声)は意外と力強く、そして、何度も繰り出される鬼のドラムソロ!徹底的に夏秋スペシャル、オイラはドラマー、ヤ〇ザなドラマー♪現代の嵐を呼ぶ男(とても涼しい顔で)。私は以前から夏秋さんのドラミングは理数系というイメージがあって、鋭くしなやかなビートが理路整然と変態的で暴れる。特に『JACK TOO MUCH』の楽曲(レコードでもライヴでも)では、それがもう容赦なく大爆発してるように思うのだけど、どうだろう?そんな夏秋さんに呼応していつも以上に攻めのグルーヴを生み出している大田さんが穏やかに優しく歌う「Silly Girl」、誰よりも安定したボーカルに安心と信頼感。会場がほっこりしたところで、旧譜からももちろんやります「地下室のエミリー」「MY BEAUTIFUL GIRL」。いつだってずっとジャック達は名曲ばかりなことをサラリとアピール。「~エミリー」の美しすぎる文学的詩情、「MY BEAUTIFUL~」間奏の一色さんのギターソロにはどうにも胸掻きむしられてしょうがない。「君は2こ上」は聴くたびに好きになる曲で、生演奏ではそのオトナの恋物語がますますリアリティを帯びてくる。一色さんが「カラオケに入ってたらなぁ」と言っていたが、確かにカラオケで歌いたいな。砂埃舞うロック讃歌「アーケード・カスケード」からはもうどんどんエモくなっていく。前述のとおり痺れっぱなしの夜だったけども、個人的に最も痺れたのはアル・カポネかもしれない。野球DJ中嶋勇二さんが件の居酒屋座談会で「いきなりRYDEENが始まったかと思いました」と仰ったように、レコードでは打ち込みのリズムなのだけど、ライヴはもちろん生ドラムで。チッチキチッチキ、これがまたカッコイイのなんの。頭のト・キ・オならぬシ・カ・ゴ!はレコードよりも強調(笑)、途中にはウ・メ・ダ!も飛び出た。妖しい色気を振りまきながら、とにかく凄まじい疾走感。後半は思わず松田信男さんのピアノソロが脳内ダビングされ、レコードではカットアウトで終わるのをジャジャジャジャン!でエンディングもバシッとキまった。それでもって、お次は怪物「プラスティック・トイ」だ。東京や名古屋で観た人の口々からヤバイの声を聞いていたが、マジでヤバかった...。レコードのバージョンには無いサイケなパートが追加され、一色さんのトチ狂ったかのようなシャウト!更に破壊的で狂乱のハードロック地獄。スーパーヘヴィー級のグルーヴに宇宙の果てまで投げ飛ばされ、意識が遠のいたまま本編最後の「天国行き最終列車」へ。出だしの一色さんのカッティングギターは軋む車輪のようで、大田さんのぶっとく弾むベースはゴオゴオと黒い煙を上げている。完全にトドメを刺された私は、タイトルの通り天国へ逝った...チーン。本編は休憩なしのぶっ通し(そうじゃなきゃTOO MUCHじゃない!という意思の表れ)だったので、ここまで改行なしでお送りしました。

さて、ジャック達のライヴの醍醐味の一つは、一色師匠の愉快なMCなのだけど、今回はワンマンというだけあってMCもたっぷり。とは言え、喋る分量も適度でライヴの勢いを止めることはなく、むしろ、笑いで勢いを活性化させていた。って、そんな分析してどうする(笑)。「ここで水を飲むということは、サビで休符がないからなんですね。死ぬかと思った」「あと10年くらいしたら、一番若いナッキーが...(以下自粛。某先輩バンドのファンの方から、ヒドイー)」「ちょっとチューニングします...アーッ!アーーーーッ!(ギターじゃないのかよ)」や一色家の”たとえば♪”ブームなどなど百発九十八中くらいで会場爆笑。白眉だったのは、「大田くん、背中掻いて」からの伸びる孫の手(わざわざ用意している)によるジミー・ペイジボウイング奏法のくだり。笑い死んだ。孫の手をギターに叩きつけたら、本人の想像以上にあまりに見事に鳴るので、調子づいてしつこく何回も。ギィーン!ギィーン!一色さんのギターが最も麗しく鳴った瞬間だった(爆)。

「拍手すれば出て来ると思ってるでしょ?犬じゃないんだから」アンコールはダブルで。まずはGO→STの歌姫えみコバーン(from大なり><小なり)を迎えてブロッコリー」「禁断のチョコレート・エンジェル」を。彼女は達者なコーラス(叱り)だけでなく激しいヘッドバンギングやダンシングで大いに盛り立てる、「ブロッコリー」間奏の着信音ノイズは実際にスマホを使って。いっぺんに見栄えも音も華やかになる。冬のGGPエレキギター祭りスーパーソニック・トースター」は、間奏の一人二役のギターソロがやはり燃える、焼け焦げる。キハラさんのレスポールの鳴りはジャックンロールの肝で、とりわけ『JACK TOO MUCH』のギターリフやソロはギンギンに冴え渡っていると思う。いよいよ名実ともにギターヒーローと言ってもいいのでは。一色さん(テレキャス)の特異なギターワークも磨かれていて、キハラさんとのコンビネーションは無敵状態に突入だ。そして、最後の最後は重厚なロック交響曲「エルドラド」。”もうすぐみんなgood by 誰でもいつかgood by 救われても救われなくても”ズシリと胸に響くサヨナラの歌だ。永遠に終わってほしくなかったが、ライヴは終わる。心を震わす素晴らしいライヴであればあるほど儚い、今宵その夜。


ジャック達「JACK TOO MUCH TOUR 2017」
2/12(日)@大阪 梅田ムジカジャポニカ
出演:ジャック達(一色進/宙GGPキハラ/夏秋文尚)&大田譲(from CARNATION)
   えみコバーン(from 大なり><小なり)
開場18:00・開演19:00

01. JUMPER
02. カジュアル
03. マイ・ベイビィ・アン
04. 飛ぶ前に跳べ
05. Stormy April Blues
06. 暁ワンダーボーイ
07. スキニー・スキニー
08. The Time Has Come
09. Silly Girl
10. 地下室のエミリー
11. MY BEAUTIFUL GIRL
12. 君は2こ上
13. アーケード・カスケード
14. アル・カポネ
15. プラスティック・トイ
16. 天国行き最終列車

en1. ブロッコリー(with えみコバーン)
en2. 禁断のチョコレート・エンジェル(with えみコバーン)

en3. スーパーソニック・トースター
en4. エルドラド


※終演後はメンバーとのチェキ会(1枚500円の良心価格)でもうひと盛り上がり(笑)