レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

『BAND EXPO』 BAND EXPO【前半】

さて、大変お待たせしました!BAND EXPOの1stアルバム『BAND EXPO』が届きました!心の奥底から待ち望んでいたので発売日までもかなり長かったですが、某ユニオンの特典のことで発売日に間に合わず、そこから発送されるまでの2日間くらいはヤキモキして猛烈に長く感じました。なので、その分、というか何というか、現物を手に取って眼福ユウコさんが描かれたイカしたジャケットを眺め初めてその音に触れた時の感動と興奮が20%増量したような、そんな気がします。特典のトートバッグもかなり素敵な出来だったので、結果オーライ!と言うことにしておきましょう。届いてからは、もう狂ったように何度も聴いています。

BAND EXPO

BAND EXPO

これまで散々語ってきたが、BAND EXPOとは青木孝明、西村哲也、コーノカオルの三人に矢部浩志(もはやサポートではない)という、私にとっては大好きなSSWで演奏家しかいないウルトラスーパーバンドなので、わかっちゃいるけど、いや、わかっちゃいる以上に素晴らしい傑作ポップロックアルバムだったものだから、涙の虹が架かるほど嬉しい。嬉しすぎる。BAND EXPOを日本語に訳せば、バンド万国博覧会。名前の通り、東西の偉大な古き良きロックバンド達から吸収した美味しいエッセンスを散りばめ、メンバーそれぞれの研ぎ澄まされた職人的ポップセンスで料理し、個性と個性がぶつかり合い溶け合ったエネルギッシュなハーモニーが奏でられる。それは流石の鉄壁なバンドアンサンブルなのだが、所々で無邪気にヤンチャに音に戯れる笑い顔が浮かぶ。何と言っても、聴き心地がフレッシュ!なのが最高である。各々キャリア20年を超えていようが新人バンド、ここにもロックバンドの1stアルバムの魔法が炸裂しているようだ。そして、このアルバムに収録されているインストナンバーを含め12曲の全てが全て名曲オンパレードで、メロディアス極まりない。特に、メンバー最年少コーノさんの目を見張る大活躍ぶり(同時発売のソロアルバム『黄金の足跡』も名曲だらけ!)は、きっと他の先輩メンバーの作曲魂に火をつけたに違いない。そんな相乗効果で、おそらく50年前の人に聴かせても、50年後の人に聴かせても、イイ曲だね!と言わせる力のある魅力的で普遍的なメロディーが詰まっている。なので、これからも末永く付き合う作品になるだろう、これからもよろしく!

アルバム全編に漂うサウンドは、トッド・ラングレンユートピアにも通じる、レトロフューチャーなスペーシーな響き。改めて、バンド名はBAND EXPOであることからも匂うように、そのサウンドの響きは青木さんを筆頭に1970年の日本万国博覧会(EXPO'70)に想いを馳せる人たちが集まったバンドであること(コーノさんは当時1歳ではあるが)の表れなのだろう。私自身は79年生まれ、歴史として記録映像や写真などで万博のことを何となく知ったような世代なので、特に縁はない...と思いきや。私は山と田んぼに囲まれた兵庫の田舎で生まれ育ったのだけど、家族で近所のとあるラーメン屋によく行っていた。その店の造りは全面ガラス張りの不思議なエキゾ感のある変わった形状のハウスで、妙に印象的だった。それで、割と最近、万博について興味が湧いてきてネットで調べていると、なんとその店が万博のウルグアイ館だったことが判明した。その隣りにあった喫茶店はペルー館で。それを知ったからには、帰省した時にもう一度ちゃんと見ておきたいと思うも、どうやら取り壊されてしまったようだ。残念無念ではあるが、万博との薄い縁があったのはちょっと嬉しい。なので、超個人的には、このキラキラしたサウンドスケープの先には、あのラーメン屋のある風景と濃い目の味噌ラーメン&味噌だれの餃子の味に辿り着くのである(なんだそれ)。それはともかく、EXPO'70を実体験した、カラフルでやけに眩しい近未来への夢と希望の光にワクワクしたであろう少年たちの心象風景が、BAND EXPOのポップでロックでドリーミーなサウンドの何よりも大きなルーツなのではないかと想像する。と楽しい。聴き手にとっては、それがEXPO'70かどうかに関わらず、純真無垢な子どもの頃の何かにウキウキしたりトキめいた記憶(Memories)にコミットするような音楽でありサウンドなのではないだろうか。決して渋くはない、晴れ晴れとした夢のあるポップソングばかりである。


Memories/BAND EXPO

とにかく2016年に新しいバンドの新しい名盤が生まれた!喜び、興奮せざるをえないのです。是非ともポップ&ロック愛好家の皆様にも味わっていただきたいです、洋楽派も邦楽派も。って、もういくらだって語れそうでヤバイので、ここで一旦止めます。次回は、全曲感想いきますよ。


『BAND EXPO』BAND EXPO(2016年)

01. Showtime
02. EXPOS(BAND EXPOのテーマ)
03. 太陽の塔
04. Switch
05. Space Mountain Top
06. 渇き
07. Memories
08. 何処へ(History)
09. The End Of The World
10. 明日
11. Yellowstone
12. Second Shock Blues

Mixed by 鳥羽修 at Smalltown Studio
Mastared by 中村宗一郎 at Peace Music

Illustration by 眼福ユウコ

BAND EXPO are...
西村哲也:Vocal,Chorus,Electric & Acoustic Guitar,Pedal Steel,
     Piano,Electric Piano,Organ,Synthesizer,Blues Harp & Mandolin
青木孝明:Vocal,Chorus,Electric & Acoustic Guitar,Bass Guitar,Piano & Organ
コーノカオル:Vocal,Chorus,Bass Guitar,Piano,Organ & Synthesizer
矢部浩志:Drums