レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

西村哲也/柴山一幸@拾得 2015.9.27

この日の私は、お昼から京都の円山公園音楽堂でのフリーイベント『愛らぶ円山2015』に。京都ロックンロール界のドン、バンヒロシさんのバンドbambino結成15周年記念のお祭りでした。ちょっと暑いぐらいの好天気の中、グリーンカレーとビール食し、ユルりと音楽やダンスや落語を堪能。安藤明子さん(やっと観れた)、安田謙一さん&キングジョーさん(「銀河特急」熱唱!)、サヨコ・デイジーさん(こりゃあ天才!)、登山正文さん(from私の思い出。カッコイイが爆笑)、アマリリス【改】(アリスセイラーさんを拝む)などなどクセありすぎな強力メンツ(スペシャルゲストの平山みきさんを観逃したのが痛い)。愉快愉快。時間切れでトリのbambinoが観れず残念無念でしたが、速足で拾得へ。結構遠いのよ。

そして拾得、超楽しみにしていた西村哲也さんと柴山一幸さんの2マンライヴ。一幸さんのライヴが関西で観れるのなんて相当貴重なのだけど、なんだかこの日は各地でナイスなライヴが目白押し(一幸さんもカトケンさんもカーネーションのライヴ観れなくて残念がってた・笑)で、本来なら拾得に来てるだろうあの方この方が...まぁしょうがないんですけどね。そんなわけでちょっと寂しい客席になってしまったのが心残り、もちろんライヴの内容がとても素晴らしかっただけに...次回あれば是が非でも!よろしくお願いします(だから、誰なんだお前は・笑)。

西村哲也(Vo&E.G) with 大前チズル(Key&Cho)&中島かつき(Ba&Cho)

≪セットリスト(順不同)≫
キッチン・ミュージック/砂のコリン/失われた日曜日/妖精のリング(新曲)/少しだけ/赤いスーツケース/ケヴィンのブルース/運命の彼のメロディ

西村「柴山君の関西レコ発ライヴの前座を務めさせていただきます」。前回に引き続き前島文子さんが欠席(名古屋でライヴ)でドラムレスのトリオ編成、通称“GREEN PORK PIE HATS”。今宵もジャジーにメロウに、これでもかと代表曲連発でしたね。特に印象に残ったのは2回目に聴く最新曲「妖精のリング」、これは凄まじい名曲なのではないかと予感から確信に。オトナの怪しくも色っぽいロマンチックさ、他のどの曲にも無かった展開。間奏のロバート・フリップのような滑らかに狂おしいギターソロにニヤニヤ、ずーっと聴いていたい。隠れた人気曲「少しだけ」の3人バージョンもポップさが増して素敵だったなぁ。なんたってCSNばりの大前さん(女声)&かっちゃん(男声)のコーラスがもう抜群で、グググッと歌に厚みと華やかさが出る。そして、同じ曲でも大前さんのキーボードによるアレンジは毎回変わり、創意工夫っぷりをいつも楽しみにしているのだが、今回は「赤いスーツケース」がテクノポップ調?でユニークだった。あと、「ケヴィンのブルース」でのかっちゃんのベースソロがオリジナルの感じではなくかなりフリーキーに弾いていたなぁ。とか、密かに見どころいっぱいだったのではないかと。次回、西村さんの関西ライヴは、11/23@京都ネガポジです。


■柴山一幸(Vo&A.G) with 加藤ケンタ(E.G&Cho)&西村哲也(E.G&Cho)

≪セットリスト≫
song of superman/君とオンガク/Butterfly/サクカサカナイカ/コタツでアイス/Why Why Why/機関車/番号のつかぬ夢/Welcome! Welcome!/en) 愛こそは不得手

柴山一幸さんの関西ライヴと言えば、『I'll be there』発売時の大阪knave(私、行けず)以来2年ぶり。なんと拾得には12,13年前に田辺マモルさんとの共演で出たことがあるそうで、実は西村さんよりも先に拾得のステージを踏んでいたという驚きの事実が。私としては今年の1月に観た東京の吉祥寺マンダラ2でのGO→ST祭り以来になるのですが、そのライヴがまたとんでもない熱気と勢いでめちゃくちゃ盛り上がったのでした(一生忘れられそうもない)。そんな強力な思い出を引きずりつつ、今回の最新作で最高傑作『YELLING』を引っ提げての京都レコ発ライヴにもかなり期待をしておりました。

この日のメンバーは、加藤ケンタさんと西村哲也さん(出ずっぱり!)というエレキギターテレキャス)コンビ、一幸さんは時々アコースティックギターを持って(本当は全曲ギターを弾かずボーカルに専念するつもりだったが、のっぴきならない事情が...※ヒント:カトケンさんが中指にずっとスライドバーをはめていた)、ギターばっかりのありそうでなかなか無いトリオ編成。さすがの名手たちなので、ギターだけでももうほとんどフルバンド状態、でも、あくまでも主役は一幸さんの歌という巧みなコンビネーション。それこそフルバンドで観た時よりも中~後期のビートルズの匂いをとても感じたのは、なぜだろう?興味深かったなぁ。そして、何よりも感動したのが一幸さんのボーカル力。最初からエンジン全開ではなく、じわじわと気持ちが乗っていき、聴いている方もグイグイ引き込まれていった。太いというタイプではないのだけど、倦怠感とここぞという時に鋭く伸びていく歌声はまさしくロックボーカリスト。髭面も相まって、ジョン・レノンに見える瞬間が何度も。歌と言えば、拾得で聴く小坂忠「機関車」のカヴァーがめちゃくちゃ沁みた。実際に小坂忠さんが拾得でこの曲を歌ったのかどうかは知らないけど、一幸さんのエモーショナルな歌唱を通じて、75年の空気と繋がっていく感じというか、非常に特別な何かを感じた。また、拾得のアナログレコードのような音響が一幸さんの歌をふくよかにしていて、すごく気持ち良さそうに歌っているなぁと嬉しくなる。西村さんとの共作曲「コタツでアイス」「Why Why Why」なんて超ゴキゲンだった。アンコールは、湯浅学さんに東京オリンピックのテーマソングにするべきと言わせたロックンロールナンバー「愛こそは不得手」。ずっと座って弾いていたカトケンさんも思わず中腰になって弾きまくり、西村さんが聴いたことないような奇声コーラスを発して、もう大興奮。立ち上がって踊るべきだったと反省。終演後のお喋りも楽しく、実にイイ夜でした。センキュー・ミドル、また関西にお越し下さいね。次はフルバンドで!マジでスゴイんだから。

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