レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。

『壊れたカセットはA.O.R.』ダンボール・バット

我が家の今年の夏はコレで決まり!なのだ。“狂っているのはアナタのほう”というある意味キャッチーなフレーズで始まるこのレコード。今を生きていて、狂っていると感じることが日に日に増えてきているような気がする。世の中が狂っているのか、あなたが狂っているのか、自分が狂っているのか。少なくとも自分は狂っていない、オレがスタンダードだという確固たる自信なんてない。たとえタイミングが狂っても、粘り腰でなんとかライト前にヒットを打ちたいものである。言っていることが意味不明である。今日も暑いな。

壊れたカセットはA.O.R.

壊れたカセットはA.O.R.

『壊れたカセットはA.O.R.』というタイトルからして80'sの匂いがムンムン。あの時代のニューウェイヴを現代風にアップデートしているというよりも、そのまんま現代にぶつけているのが何よりも痛快だ。私がニューウェイヴに興味を持ったのが割と最近なので、まだまだ勉強中なのだが、今ではなかなか感じられないあのいかがわしいセンスが魅惑的で面白くてしょうがない(とにかく変な人ばっかり)。それがこのレコードに在る。ダンボール・バットは87年結成でニューウェイヴどっぷり世代だろう方々のバンドなので、いかがわしさはホンモノである(変な表現)。うん?87年と言えば、ひょっとしてニューウェイヴがもう過去の音楽になりかかってた時期じゃないだろうか?そこからずーっと時代錯誤的に音楽活動してきてたんだろうな、AMIさんがダンボールのバットを振り回しながら時代と戦っている姿を勝手に想像して勝手に泣けてきた。ゆえに「イージー・リスニング/ハード・リスニング」“オレのニューウェイヴ 気安く聴くなよ”の説得力たるや。正座して聴きます。さっきからニューウェイヴ、ニューウェイヴと言っているが、やはりオールドウェイヴを知っているからこそのニューウェイヴであって、このレコードには60'sクラシックロック、プログレグラムロック、モダンポップ、フレンチポップ、フュージョンAOR昭和歌謡などなど多種多様なジャンルの音楽要素が詰め込まれている。その知識量がハンパないのは一聴瞭然。質感はニューウェイヴならではのダークな空気で包まれているが、音楽自体はボーダーレスでヴァラエティに富んでいる。そこが好き。モーレツに好き。

とりわけ、アルバム表題曲「壊れたカセットはA.O.R.」が何から何までツボである。これがAORなのかは不明だが、あのおそらくダンディでお洒落っぽいイントロだけで生ビール5杯はイケるぞ。途中でつかの間パンクでテクノポップに様変わりするのは、なるほど確かに“爽やかに壊れて”いる。なんだか昨今のシティポップスブームに対する皮肉のようにも聞こえるが、それはたまたまなんだろう。むしろ、あの時代のAORに向けての郷愁と愛情をひしひしと感じる。って私はAORに慣れ親しんだ世代ではないので、まったく的外れかもしれないが。とにかく、ダサさスレスレを暑苦しく颯爽と駆け抜けていくポップチューン。極上である。


壊れたカセットはAOR/ダンボール・バット(15.6.25発売) - YouTube

インチキ臭いプログレな映画サントラ風インスト「大天使」、大好きなAmericoのMiss Donutさんとのデュエットが嬉しいアンニュイなフレンチポップス「流刑地から」あたりも大のお気に入り。全14曲約60分逆柱いみりさんのイラストジャケも最高で税込1620円、めちゃくちゃお買い得だと思いませんか?ひそひそ声で、オススメ。


『壊れたカセットはA.O.R.』ダンボール・バット(2015年)

01. パーフェクトにうってつけの日
02. 壊れたカセットはA.O.R.
03. DARK STAR
04. DARK HORSE
05. 気の触れた男は週刊●●を読んでいた
06. 仮面の昼
07. シティソルジャー(戒厳令の夜)
08. 岬にて(Part1&2)
09. 大天使
10. 大砂塵
11. イージー・リスニング/ハード・リスニング
12. 画家は幻
13. 流刑地から
14. 映画「地中海大捜査線」のテーマ


※リーダーAMIさんのブログ『~ ダンボール・バットの真夜中は別の顔~』がまた素晴らしく面白いので必読。見事な嘆き節で引き込まれる。参りました。