レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

【復刻】『MY BEAUTIFUL GIRL』ジャック達

朝からジャック達の1stアルバム『MY BEAUTIFUL GIRL』を聴きながら、そっかぁ2005年リリースだから今年で10年かぁ、一色進さんの音楽に出会ってから10年かぁとふと思って、しみじみしております。このアルバムにはロックバンドの1stアルバム特有の粗削りなキャッチーさがあって、私の心のレコード棚ではエルヴィス・コステロの1stの隣りにあります。サウンドや完成度では次作以降のアルバムに軍配が上がるかもしれませんが、何と言うか好き大好きを超えた特別な存在なのです。しかし、当時はまさかこんなにジャック達や一色さんに夢中になるとは思いもよらなかったですね...とは全く思いませんでした。最初からこうなることは予見していました。というわけで、今回は10年前のアルバムリリース時に前のブログに書いた文章を載せてみるという卑怯な手を使います(笑)。我ながらよく書けていると思うのですが、いかがでしょう。2005年9月12日に投稿、私26歳、一色さん50歳でした。

MY BEAUTIFUL GIRL

MY BEAUTIFUL GIRL

巷で噂のジャック達のデビューアルバムがついに我が家にやってきた!ヤァ!ヤァ!ヤァ!発売日からは少し時間が経ってしまいましたが、スクイーズに出会ってから僕の目が徐々にイギリスに向いてきている今、ジャック達は実にすんなりフィットしてくれましたよ。いやぁ~これは名盤(迷盤?)ですぞ、今年NO.1候補最有力か!?

今日はずーっとエンドレスでこのアルバムを聴いているのですが。おおーこりゃ和製キンクスだ、ムーンライダーズとコレクターズを足してヘロヘロにした感じかなとか、ブリッジのサイトには“日本のアレックス・チルトン”と称されていてなるほどと思ったり。でも、それだけじゃ全然説明し切れてないし、この圧倒的な個性は一体なんなのだろうか?あのーよく教育の現場なんかで、個性を伸ばしましょうなんて言葉を聞きますけど、それは即ち優れているところを伸ばしましょうってことなんでしょうけど、個性って必ずしも優れているところだけじゃなくて欠落しているところも個性だと思うんですよ。欠落しているところが全てネガティヴなものとは限らないし、むしろそういうところが人間的な魅力につながったりするものです。なんてことを『MY BEAUTIFUL GIRL』を聴いていて、ふと思ったのです。ジャック達の音楽は決して完璧ではないけど、欠落した部分がものすごくチャーミングに光り輝いている音楽なんですよね。一色さんの歌なんて頼りなくて危なっかしくてお世辞にも上手じゃないですよ、でも、無性に可笑しいけど物悲しい、愛とロマンと生き様を感じる素敵な歌声なんですよね。これはどこの誰にも真似できないですよ。一色さんのそんな魅力を熟知しているにちがいない他のメンバーの演奏も骨太でグルーヴィーで素晴らしく、しっかり歌を盛り立ててくれてます。これぞバンドサウンド、ロックンロール!(出来るだけ爆音で聴きましょう!)どことなくカーネーション『LIVING/LOVING』にも繋がるような気がしますね、ちょっぴりガレージ風味のサウンドなんかもそうだし。

これはもう当たり前ですけど、曲がものすごく良いですね。ノリノリの曲から感涙のしっとりしたバラード曲(「みみずく」名曲!)までいろんなタイプの曲がありますが、どれも一捻り二捻りあって奇妙(ひょっとして一色さんの歌唱のせいか!?)なんだけどポップ。こういう要素を持つ音楽って、一回ハマるとなかなか抜け出せないんですよね。最初は聴き慣れなくても、しつこく聴き続けることが大切です。そして、一色さんの書く歌詞、これがまた情けなくていいんですよね。直枝さんにも通じるロマンティシズム溢れるダメ男っぷり、ツボですねぇ。例えば、“今夜 あべこべさ/しゃれこうべ つべこべ言っても/止められない 君が欲しい”(「月光」)、“冬と君の間に立ち 僕は君のマフラーになりたい”(「EASTEND JUKEBOX」)など書き切れませんが、名フレーズ連発です。一色さんって50歳なんですよね、スゴイよなぁ。やっぱりどこか欠落してる(笑)。

“せつないね やるせないね それでも地球はまわる”(「地球はまわる」)