レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。'79年生まれ。

『オールド・ハイツ・ミュージック』冬支度

今日は夏至だそうですね。なぜだかそんな日に紹介したくなった冬支度。大阪を拠点に活動している安田支度さんと斉藤祢々子さんによる男女フォークデュオです。つい先日、音楽評論家・岡村詩野さんのFMラジオ番組【Imaginary Line】(京都のα-STATION)での音源投稿コーナーで冬支度が取り上げられたようで(残念ながら聴き逃した、失態...)、私の周りではちょいと湧きました。それを記念して、ではないですが、私からも紹介してみようかと思った次第です。

安田支度さんとは冬支度として会うずっと前に音楽好き同士、とりわけラリーパパ&カーネギーママのファンという立場でライヴ会場で何度かお会いしていました。安田さんは私が以前やっていたブログを面白がって見て下さっていたのです(まぁ当時ラリーパパのことを熱心に書いていた人なんて二人くらいしかいなかった)。2007年に京都丸太町のエル・ラティーノというメキシコ料理店で、西村哲也さんとラリーパパのチョウ・ヒョンレさんとのジョイントライヴがあり、その帰りの京阪電車で一緒に話したのをよく覚えています。斉藤祢々子さんもあのキノコカットがよく目立つのでライヴ会場でよく見かけていました。それから時が経って随分久しぶりにお二人に再会したのが、2013年11月の大阪の雲州堂でのライヴイベント【アコギとハイな夜】でした。なんと西村哲也さん、青山陽一さん、pocopenさん(sakana)という豪華メンツのオープニングアクトとして冬支度が出ていたのです。しかも、ベースはラリーパパの水田十夢さんが弾いていて、もう驚いちゃいました。それがきっかけで以降も西村さんとの共演などもあり、冬支度の生演奏は4回くらい観てますかね。ライヴ活動を精力的にやっているので、観る度に堂々としてきているなぁ、音楽もますますユニークになってきてるなぁと偉そうにも感じています。

その2013年の【アコギとハイな夜】に出演するにあたって、一念発起で制作された5曲入りミニアルバムが『オールド・ハイツ・ミュージック』です。お二人の穏やかな人柄と優しい音楽愛が滲み出た素朴なフォークソング集。グループ名から冬っぽいのかと思いきや、とても春めいています。春一番コンサートに出ていた人たちのような70年代の日本のフォークやシンガーソングライターがルーツになっている(2000年頃の喫茶ロックシーンを経由し)とは思いますが、全く湿っぽさはなく、どこかポップで軽妙に響くのが素敵ですね。ジェイムズ・テイラーなどの影響を受けているであろう安田さんのリズミカルなアコースティックギター、斉藤さんのフルートが入るとソフトロック的な雰囲気もあって、部屋で流しているとそよ風のように心地良いです。アンサンブルもシンプルでありながらよく練られていて、しっかりしています。あと、二人のちょっぴり危うい歌のハーモニーがなんだか妙にグッとくるんですよねぇ。魅力的。安田さんは初期の細野さん風の朴訥とした歌いっぷりで、斉藤さんの歌声や歌唱は私が知っている女性シンガーの中でも屈指に金延幸子度が高いです(ライヴでカヴァーしていて、ちょっと感動しました)。語弊があるかもしれないですが、歌はもう上手くならないでいいから!と言いたくなっちゃいます。尊いアマチュアリズム。『オールド・ハイツ・ミュージック』とは、マンションでもアパートでもなくハイツの音楽、まさしく言い得て妙ですね。ほっこりしましょう、そうしましょう。

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『オールド・ハイツ・ミュージック』冬支度(2013年)
1.車窓より 2.つかの間の旅 3.なんにもない日 4.桜の見ごろは終わったみたい 5.天気屋

斉藤祢々子:Flute, Accordion, Vocal
安田支度:Acoustic Guitar, Mandolin, Harmonica, Bongo, Vocal

水田十夢:Wood Bass
北里修:Upright Piano

※ジャケットのイラストとロゴは眼福ユウコさん作

↓試聴はこちらなどで聴けますね。

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↓これは未CD化の曲ですが、とってもお気に入りです。特に、歌詞がユーモラスで佳いです。

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大阪の路地裏で密かに盛り上がっているアコースティックミュージックシーンの紹介役としても期待しております。