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レコードは果てしなく

好きなレコードや観たライヴのことを喋ります。

頼りになります大田譲さん

SONG 日本 西村哲也 一色進

何やら最新のカーネーションのファンクラブ会報が大田譲特集だそうなので、いきなりですが、私も大田さんについて語ってみようかと。今では直枝政広さんと大田譲さんの二人組になったカーネーションですが、バンドと名乗っていても違和感が無いのは、やはり大田さんの存在感の大きさによるものだと思われます。一人で二人分それ以上。大田さんの文字通りの男前なルックスと弁慶みたいな恰幅の良さやどっしりと強靭そうな足腰は客席から観ていても頼りがいがあるなぁと惚れ惚れします。もう立ってるだけでもステージ映えする大田さんなのですが、ベースプレイは決して派手ではありません。チョッパーや速い運指でのこれみよがしなファンキーさではなく、ブゥーンと一音で曲をぐいぐいっと推進させる骨太なグルーヴ。また、大田さんは良い声をもったシンガーでもあるので、歌に対する気遣いが出来るというか、何よりも歌が生きるベースプレイを常に心がけておられるように感じます。決して歌の邪魔をせずに盛り立てる。もちろんここぞという時はステージ前に出てきて全身でベースをブルンブルン鳴らし、フロアを熱くします。そんなどこまでもロックベーシストな大田さん、私の好きなベースプレイが聴ける曲をいくつか挙げてみます。

①「ないしょの茂みにて」グランドファーザーズ

...まずはやはり大田さんの国際的ベースマン・デビューのきっかけ、グランドファーザーズから。1stアルバム『Western-Charnande』('89)収録、ビーチボーイズ風ポップナンバーです。大田さんのベースがメロディーラインを形成しており、誰よりも歌っています。作曲は青山陽一さんですが、もうひとりの作曲者に付け加えてもいいんじゃないでしょうかね。この曲も含めGF'sの初期ナンバーは若さゆえか徹底的に複雑な構造(まさしくひねくれポップ)で、大田さんはライヴでこの時代の曲をやる時が一番大変そうです。演奏する前は難しいんだよとブーブー言ってるし(西村さんはへ?そうって平気な顔してる・笑)、緊張の大汗をかきながら必死に演奏しておられます。そして、その鬱憤?を譜面要らずのファンクナンバー「Cleaning Inside」やブルースロック仕様「にんじん」でのシャウトで爆発させておられます。

②「コズミック・シーのランチ・タイム」カーネーション

...グランドファーザーズは92年に解散し(現在は再結成してマイペースに活動中)、大田さんはいつも傍にいたカーネーションに加入することになります。そして、世紀の大傑作アルバム『天国と地獄』が生まれるわけですね。その後コロムビアに移籍してからのグルーヴィーなサマーソングは永遠の輝きを放っております。私が初めて買ったカーネーションのアルバムは『GIRL FRIEND ARMY』('96)、当時高校2年生でした。まだ音楽を意識して聴き始めた頃だったので、理由は分からないんだけど異常なほど心を掴まれて、本当に365日毎日聴いてました。分からないなりにも何で好きなのか分析しようと思って、ひとつの楽器に集中して聴いみたり。素人耳にもメロディーやリズムや楽器の絡み合いの緻密さや美しさを感じましたね。なので、今でもポップスの基準としてこのアルバムがありますし、この時期の大田さんと矢部浩志さんとのリズム隊が最強だと思っています。中でも「コズミック・シーのランチ・タイム」がもう大好きで、①と同様に大田さんの極上メロディアスなベースが楽しめます。何度聴いても目眩がするほどスムース&メロウ。70'sの絶好調なスティーヴィー・ワンダーにも負けてないです。

 ③「夜の光」西村哲也

...大田さんと西村さんとの関係と言えばもちろんグランドファーザーズですが、それ以前の京都の大学生時代からの付き合いで、今でも一緒にやっている人の中では一番古い音楽仲間ですよね。一見、お二人は見た目にギャップがあるし性格も対照的な感じがするのですが、傍から見ていてもとても仲が良いですね。先日の拾得での西村さんのライヴに助っ人として大田さんが参加されていた時も、すっかり関西弁で和やかに会話してはりました。また、西村さんのソロで一緒に演奏している時の大田さんが一番リラックスしているように感じます。直枝さんや青山さんに比べると西村さんの曲がシンプルだというのもあるのでしょうけど。この「夜の光」は2010年の名作『ORANGE』に収録されています。生と死をテーマとした物悲しいロックバラードで、ザ・バンドを思わせるアーシーな演奏が素晴らしいです。アコースティックギター、ベース、ドラム、ピアノ、アコーディオン、どの楽器も一切余計なことをしません。西村さんの切ない歌声にそっと寄り添う大田さんの歌心の塊のようなベースを聴いていると、二人の友情まで感じてしまってちょいと泣けます。このアルバムでは、「ROCK'N' OLD MAN」でのツェッペリン愛炸裂の豪快なベースプレイも必聴です。ちなみに、大田&矢部の黄金リズム隊を常にライヴで観れるのは東京の西村ソロなので、ファンは観に行きましょうね!カーネーションとはまた違ったカッコ良さなのです。

 ④「禁断のチョコレート・エンジェル」ジャック達

 ...オリジナルベーシスト福島ピート幹夫さんが抜け、2008年9月のライヴから大田さんがサポートベーシストとして参加しているジャック達。サポートと言いながらここでもやはり存在感は絶大で、今や大田さん抜きでは考えられなくなっています(メンバーの誰よりも歌が上手いし・笑)。最新作『JOYTIME』の歌詞カードに載っている4人(ジャック+大田さん)の後ろ姿が並んでいる写真を知らない人が見たら、間違いなく大田さんのバンドだと思うでしょう(爆)。ジャック達のザ・ブリティッシュロックでのベーシストとしても(一色さんの話し相手としても)もうバッチリです。何と言ってもドラムス夏秋文尚さんとのリズム隊はグランドファーザーズ時代から始まり、鈴木博文さんのバッキングや西村哲也バンドなどでも組んでいましたし、まさしく阿吽の呼吸でこれまた黄金コンビと呼べるでしょう。「禁断のチョコレート・エンジェル」は大田さんが加入するにあたって、それにふさわしい曲をということで作られたロックナンバー。ジャック達特有のチャーミングなポップさとハードさがギュッと詰まった代表曲です。ワイルドにドライヴするベースは最高!の一言、猛烈な勢いで新生ジャック達は船出しました。

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【番外編】「Shu Ba Da Du Ma Ma Ma」The Steve Miller Band

...『The Joker』('73)収録のこの曲、ジェラルド・ジョンソンの腹から突き上げるようなベースプレイはまさしく大田さんそのものです(?)。実際に、大田さんもこの曲のベースがお好きだそうです。カーネーション「摩天楼に雪は降る」(ライヴver.で)と聴き比べてみるとよいかと。

↓ 最後に、西村さんと大田さんの仲良しコンビの映像をご覧ください。「60」も期待しております!


50/西村哲也 - YouTube